第12章 瞳に映るのは
円堂も豪炎寺も驚きの声を上げた。風丸は頷く。その時再び花織の携帯がブルブルと震えはじめた。相手はやはり先ほどまで花織に掛けてきていた人間と同じだ。鬼道有人、その文字を見ていると、何かが風丸の中で溢れ出した。そして意を決して電話に出る。風丸が携帯を耳に押し当てれば、彼が何か言う前に相手の声が聞こえた。
「花織!無事か!?」
差し迫った声が風丸の耳に届く。それは自分たちを見下し高笑いしていた、御影戦後に風丸に挑発の言葉を余裕の笑みで残していった人間だとは思えなかった。いや、しかしそれよりも。風丸は思う、第一声が『無事か』というものだということは鬼道は花織が何かされるということを知っていたのだろうか?
「鬼道、だな」
「……風丸か?これは花織の携帯のはずだが」
鬼道の声が落ち着きを取り繕ったような声に変わった。風丸はスピーカーホンのボタンを押し、テーブルの上に置く。
「花織は今でられない。声、聞こえるだろ?」
隣には円堂と豪炎寺もいる、と風丸は言う。風丸がボタンを押したことにより、鬼道の耳にも花織の微かにすすり泣く声が聞こえた。
「……っ花織は無事なのか?」
鬼道の声が再び焦りを孕んだものに変わった。鬼道さん……?携帯から聞こえた鬼道の声に花織が呟く。無意識に風丸の花織を抱き寄せる腕に力がこもった。
「ああ……。かなりショックは受けてるみたいだがな。……俺が花織を見つけたとき、花織は拘束されて車に乗せられそうになっていた」
「……」
電話越しに鬼道が息を呑んだのが分かった。
「花織曰く、ずっと後をつけられていたらしい。……もし、俺たちが近くにいなかったら、どうなっていたかわからない」
暫く、沈黙が続いた。そんな中、口を開いたのは豪炎寺だった。