第12章 瞳に映るのは
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花織は薄暗い帰り道、さっと後ろを振り返った。しかし背後には誰もいない。花織は身を震わせ、鞄の肩ひもを握りしめる。そして再び歩を進め始めた。
先ほどから背後に人の気配と視線を感じていた。しかし振り返っても誰もいない、確かに花織の耳には人の足跡が聞こえているというのに。言い知れぬ恐怖が花織の足を速めさせる。
花織が普段途中まで帰りを共にしている風丸は今日、決勝戦前日ということもあり、練習が早く終了したために円堂、豪炎寺と共に雷々軒へ寄り道をするとのことだった。そのためマネージャー業を終えた花織は、1人で帰路についていた。
風丸が傍にいないことが心細くて仕方がない。そのとき花織はふと思う。怖いのならこのまま1人で帰らずに1度人通りの多いところへ行けばいい。回り道をして引き返せば、商店街に出る。商店街には先日円堂の説得により監督を引き受けた響木のいる雷々軒があるのだし、もしかすると今日、寄り道をしている風丸もまだそこにいるかもしれない。
花織は背後の足音を気にしながら、進行方向を変え商店街へと急ぐ。背中に感じる視線や気配は相変わらずだがようやく倉庫街へとたどり着いた。ここを抜ければ商店街に出る。倉庫街は人通りも少ないが……花織は息を呑む。一刻も早く頼れる人に――――――彼に会いたかった。
花織は先ほどよりも歩調を速めて道を急ぐ。商店街まで残り2つとなった曲がり角を曲がる。刹那、強い力で腕を引かれ身体を壁に叩きつけられた。
「……!?」
「騒ぐな」
衝撃で声すら出なかった。背後から聞こえる声は相手が大人の男だということを悟らせる。あまりに突然のことに身体が硬直して動かない。