第2章 不思議な気持ち
「あの……風丸くん」
「何だ?」
風丸が首を傾げた瞬間、物凄い爆音が2人の耳を劈いた。驚き風丸が後ろを振り返れば背後から猛スピードで車がこちら側へ突っ込んできていた。
「危ない!!」
「わっ……!」
風丸が強い力で花織の腕を引き、身体を壁に押し付ける。花織は可愛げのない悲鳴が漏らしたが、それよりも戸惑いが強かったのか風丸の腕の中で目を白黒させている。確かに道幅が狭くこうでもしなければ二人に危険があったかもしれないが……。それにしても顔が近い、と花織は息苦しさを感じる。
「大丈夫か……?」
風丸の心配げな言葉に、彼に身を挺して守ってもらったという事実が花織の中にこみ上げる。その事実と彼の綺麗な横顔に、思わず胸がどくんと波打った。強く目を瞑っても風丸の吐息が近く感じられて、余計に鼓動が早くなって変な気持ちになる。
息をするのも躊躇われるほど胸が苦しい。
「月島?」
花織の返事が無かったのが気にかかったのか、風丸がさらに花織に顔を近づけ、不安げな面持ちで花織の表情を確認する。花織は風丸から目を逸らしながら小さく言葉を呟いた。
「風丸くん……っ。……近い」
花織の頬が桃色に染まり恥ずかしげに逸らされている。風丸は一瞬、固まったがようやく現在の状況を悟ったのか慌てて花織から離れて後ずさる。今や花織に負けず劣らず風丸の顔も赤い。
「っ。……すまんっ]
「気にしないで。……それよりあの、ありがとう、守ってくれて」
「ああ」
2人は真っ赤になったまま俯いている。風丸はそのまま花織に背を向け、今にも消えそうなか細い声で呟いた。
「行こうぜ……」
「……うん」
すでに距離をとったはずなのに、花織の心は未だ落ち着かなかった。ちらりと風丸の後姿を見れば耳までまだ彼も赤く思わずこちらまで恥ずかしくなってしまう。でもそれはどうしてだろうか?
いや……特に理由などない、きっと緊張していただけだろう。彼ほど綺麗な顔立ちの人と密着すれば緊張もするはずだ。今の顔の火照りもきっと、その余韻。それ以外に何も理由はない。