第12章 瞳に映るのは
「土門さん、それでも私は」
花織が呟く。
「鬼道さんが何と思っていようと、私には関係ありません。私には一郎太くんがいる……。鬼道さんに想いを寄せていた私に、それでもいいと言ってくれた彼が」
花織は顔をあげて土門へ微笑む。しかし土門はその表情からまだどこかで花織が鬼道を想っているのだと感じ取った。
「だから私は一郎太くんの想いに答えたい」
「……そっか。まあ、月島ちゃんがそう言うならなー。事実風丸とはアツアツみたいだし」
今までのシリアスな空気が吹き飛ぶかのごとく茶化した口調で土門が言う。花織はほんのりと頬を染めて口元を覆った。
「ど、土門さん!」
「ははっ。……まあ、なんていうかさ、今まで悪かったな。これからは帝国はとか関係なしでよろしく、花織ちゃん」
「……うん、こちらこそよろしくね、土門くん」
どちらともなく握手を交わして改めて和解の意を示す。 花織の口調からも敬語が消えていた。
「それじゃあ私、一郎太くんが待ってるから。また明日ね」
「おう!」
ひらひらと手を振る花織に手を振り返す。そして風丸の元へと駆け寄る花織の背中を見つめて土門は思った。きっとまだどこかで花織は鬼道を想っているのだ。それが今後、2人の仲を裂くようなことにならなければいいが……。