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恋風

第12章 瞳に映るのは


***

帝国のスパイの存在がとうとう明るみに出た。とある人物が理事長室へ手紙を送ったのだ。そこから雷門サッカー部監督であった冬海が帝国のスパイで、しかも遠征用のバスに細工をしていたことが発覚したのだ。サッカー部員たち全員の前でそれが明らかとなった冬海は夏未の権限で即刻、雷門中学から追放となった。

そして冬海が残した一言によってもう1人、帝国のスパイとして晒された人間がいる。もちろん土門飛鳥のことだ、そして冬海の企みについて告発文を書いたのもまた彼であった。彼は自分がやってきたことの罪悪感によりこの場から走り去ってしまった。そしてそれを追って円堂、秋も今はいない。

残された部員たちは現在、練習どころではなく部室で今の驚愕を話し合っている。そんな中、花織はひとり部室の端で思い悩んでいた。花織も完全に彼らを裏切っていなかった、というわけではない。いくら風丸をダシにしてスパイの黙認を余儀なくされていたとはいえ、スパイの存在を隠していたとい事は事実なのだから。

どうして土門だけが糾弾され、責められねばならない。……自分だって同罪のはずだと花織は感じていた。しかし言い出す勇気はないのだ。あんな風に非難される様な目で見られるかと思うと怖くて仕方が無くなる。しかしそれでも……。花織は立ち上がり、彼の元へと歩み寄った。

せめて一郎太くんには、正直でいたい。

「あの、一郎太くん……。ちょっといいかな?」

俯き加減で花織は豪炎寺と話をしていた風丸に声を掛ける。今となってはチームの副キャプテンのようなポジションに落ち着いている彼だ。彼らは円堂のいない今、どうするかを決定せねばならないために話しあっていた。結論は出なかったようだが。

「どうした、花織?」
「話があるの。誰にも聞かれたくない……」

花織の深刻そうな表情から何か悟ったのか風丸はすぐに頷いた。

「ああ、わかった。豪炎寺すまない、少し出てくる」
「ああ」

豪炎寺が了解を示したのを確認して、風丸と花織は部室を出た。

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