第12章 瞳に映るのは
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蒼髪が流れるように揺れた。花織は彼の足元にあるボールへと足をのばす。しかし、するりとかわされてしまった。それでも負けじと切り替えしてボールを狙う。すると風丸は目にもとまらぬ速さで花織をかわしてシュートを放った。その速さはまさに風、花織はゴールを決められたにも関わらず、嬉しそうに笑って風丸の元へと歩み寄った。
「完璧だね。もう」
「ああ、花織のおかげだ」
風丸も微笑み、髪を揺らした。花織は首を振ったがやはり嬉しそうで表情には笑顔を浮かべたままでいる。
「ううん、私はちょっとお手伝いしただけ。一郎太くんの努力の賜物だよ」
花織はそういってゴールへと向かい、ボールを拾い上げる。そして風丸に軽いパスを送った。
「名前は決めてるの?」
「ああ。疾風ダッシュにしようと思う」
多分それが一番俺らしいから、と花織にパスを送り返しながら風丸が笑った。
「疾風ダッシュかあ……」
花織は先ほどの風丸のドリブル、フェイントを思い出した。風のようなスピードはまさに疾風と呼ぶにふさわしい技である。
「うん、一郎太くんにぴったりな名前だね」
「ありがとう、花織」
再び花織から送られたパスを受け止めて風丸は花織を見つめる。花織も風丸の瞳を見つめて思った。絶対にこの技を試合で成功させたい。
「一郎太くん。あの、この技……。帝国戦までみんなに秘密にしておこう?」
「どうしてだ?」
不思議そうな顔で風丸が首を傾げる。確かに新しい技をチームメイトに知ってもらうことでそこから戦術を立てることができる。……しかし今の雷門にはスパイがいる。練習で披露すれば彼の技は帝国側へ一瞬でしれてしまう。一つだけでも雷門の、彼の情報を守りたい。
「切り札は、隠しておくものでしょう?それに敵を欺くにはまず味方から、なんていうもの」
どうにかしてこの技を攻めの起点にしてほしい。諭すような花織の表情に何か真剣なものを見た風丸は頷く。
「一緒に考えてくれたお前がそういうんだ。そうするか」