第10章 悲壮の決意
「お前……」
驚きと動揺が入り乱れたような表情で鬼道は花織の表情を見つめる。花織の方はどうして鬼道がこれほど動揺しているのかが分からず、まるで自分が悪いことでもしたかのようにばつの悪そうな顔をして俯く。
「別に、何でもありませんから。……ただ練習で出来ただけで」
「大方、イナビカリ修練場で円堂たちと同じ練習をしたんだろう……。お前は試合に出るわけじゃないんだ。ここまでボロボロになるまで練習をすることはない」
多少怒りを孕んだような声で鬼道が花織の想いにもよらない言葉を口にした。
「大体……、お前はアイツらに比べて繊細で弱い。練習に参加するのなら、もっと自分にあった身体に無理のないものにしておけ」
低く囁かれた鬼道の言葉に花織は若干の困惑と胸の高鳴りを感じずにはいられなかった。私には興味が無いのではなかったのだろうか、それなのにどうして花織の身を案じるようなことばかりいうのだろう。もし、もしも花織の身を案じることに意味があるとすれば、そんなことがあるのならば……。しかし、花織は鬼道の言葉を受け入れず、小さく首を振る。
「……鬼道さんが何を言おうと、私は私のやりたいようにやるだけです」
実際は既に風丸に修練場での練習は禁止され、あれ一度以来あの場所での練習に参加させてもらえないのだが、花織はただ鬼道の行動に納得がゆかず反抗の意を見せた。興味が無いのなら鬼道には花織が何をしようと関係ない筈だ。とやかく言われる筋合いはない、彼は花織にとってなんでもないのだから。
「聞き分けが悪いな」
不機嫌そうに鬼道は左手で花織の腕を拘束したまま、再びしかし先ほどより荒々しく右手で花織の顎を掴み、自分の傍まで花織の身体を引き寄せる。再度、息の掛かりそうなほど顔が近づけられた。