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恋風

第10章 悲壮の決意




いよいよ、御影専農中学と地区予選第2回戦の日がやってきた。各所にアンテナの設置されている奇妙なサッカーグラウンドではあったが円堂の言うとおり、サッカーにアンテナがあろうが無かろうが関係ない。先日受けた借りも勝利に変えて返すだけだ。

気合十分に選手たちが試合に臨む。精密な機械を相手にしているかのように裏をかかれてばかりだ。お世辞にも雷門が優勢だとは言えない。しかしその時、風丸が御影の8番からスライディングでボールを奪った。花織の表情が嬉しそうに綻ぶ。

「風丸先輩ってあんなに足が速かったですっけ?」

春奈がビデオカメラを片手に花織に問いかける。春奈の言葉に花織は既に宍戸にパスを送った風丸に一度視線を寄せ、首を振った。花織も薄々気が付いていた。普段彼の走りを一心に見ているからこそよくわかる。明らかに彼のスピードが増していた。

「ううん。……一郎太くん、前より早くなってる」

きっとイナビカリ修練所での特訓に成果があったのだ。今度は豪炎寺へとパスを送る風丸へと視線を向ける。胸の高鳴りが止まらない、やはりフィールドを駆ける彼は素敵だ。あの日見たいと思った光景が眼前で展開される喜びを花織は表情に表さずにはいられなかった。

***

しかし、試合展開は悪い方向へと展開した。1点を先に先取され、それ以降御影は前半終了まで守りに逃げるサッカーへと作戦を変えたのだ。ハーフタイム中、選手たちが憤慨しながら控え室に戻っている間もマネージャー、目金、影野、冬海監督はベンチに残っていた。春奈がカメラを膝に置き、不安げな面持ちで呟く。

「どうしよう……。先取点取られちゃいましたよ」
「キツイわね、こっちの必殺技はみんな止められちゃうんだもの」

春奈の言葉に同調するように秋も俯く。何とも暗い雰囲気だった。しかし夏未がどこか自信ありげに壁に身体を凭れ、言葉を紡ぐ。

「大丈夫よ。彼らはイナビカリ修練所での特訓で一回り大きくなったのだから」
「でも、あそこはサッカーの練習は」

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