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恋風

第10章 悲壮の決意




「あなた、この修練所は女の子には厳しいと思うわ。やめておくのがいいのではなくて?」
「多少厳しい練習で根は上げないよ。選手の邪魔にもならないようにする」

挑戦的な目で花織が少し身長の高い夏未を見上げる。だが、花織の練習参加を止めようとする人間がもう一人いた。言わずもがな、彼女の恋人風丸一郎太である。いつの間にか近くまで来ていた彼は花織の肩をそっと叩いた。

「花織」
「一郎太くん、……良いでしょ?この間みたいに怪我すると分かっててやるんじゃないもの。私、選手のみんながどんな練習をするのか体験してみたいの。外に出てたんじゃ何もわからないから」

何時になく彼女は強く、風丸に頼みこむ。花織を止めることは無理だとわかったのか、風丸が返答を返す前に夏未はため息を吐いた。

「仕方ないわね……。好きになさい」
「ありがとう、夏未さん」

花織は嬉しそうに笑うと軽く伸びをして、前屈運動など軽いストレッチを始める。そして風丸の手をぎゅっと握った。

「頑張ろう、一郎太くん」
「わかった……。でもくれぐれも怪我のないようにな」

しょうがなしに風丸もつられて笑う。部活として彼女と同じ練習をこなすのは久しぶりだった。彼女が折れてくれない以上、今日の所は一緒に練習するのもいいだろうと思いながら2人はチームメイトの元へと向かった。

***

「あー……。疲れたね……」

花織がぐったりと部室の壁に寄りかかりながら呟いた。意気揚々と練習に参加したのは良かったのだが、想像以上に練習はハードだった。何度転んだことだろう……。終わった時には体力は限界で他の部員たち同様、花織も疲れ切っていた。

しかし女は男よりも強いというのだろうか。それからのマネージャー業、応急手当などはきちんと参加し、すべてが終わった今、体力尽き果てぐったりしているのである。
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