第10章 悲壮の決意
「……?」
怪訝に思い、風丸がその元を手繰ってみると花織の右手がきゅっと風丸のジャージの裾を掴んでいる。風丸はぽかんとし、その手を見つめる。……もしかして、怖かったのだろうか?
「皆、そろったわね」
開かずの扉から現れたのは夏未だった。扉の中には地下へと続く階段があり、夏未は彼らに下へと降りてくるように促すとまた扉の奥へと消えて行った。皆が移動を始める中、風丸は未だに自分の服の裾を掴んでいる彼女の手を自分の左手で握った。
「怖かったのか?」
先ほどまでは怖くないと言ってたはずの彼女に風丸は優しく笑う。
「……みんなの声に、びっくりしちゃって」
花織はか細い声でそう呟く。その頬は恥ずかしげに赤く染まっている。子供染みた所作の上に今の言葉だ、言い訳に過ぎないと感じ、恥ずかしさを感じたのであろう。花織はすぐに俯いてしまった。耳まで赤い花織に風丸の頬が緩む。彼女のいじらしい行動を愛しいと思わずにはいられなかった。
「行くぞ」
微笑みを浮かべて風丸が花織の手を引く。手をひかれ階段を降りていれば、後ろから追い抜きざまに豪炎寺が花織の肩を叩いた。
「……意外と可愛い奴なんだな」
ふっと笑う豪炎寺のからかい言葉に花織はますます顔を赤らめ、そして風丸の手を握る力を強めた。
「……恥ずかしい」
そう言いつつ口元を抑える花織を見て風丸も又、彼女を可愛い奴だ、と思うのだった。