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恋風

第10章 悲壮の決意



雷門夏未に呼び出されてサッカー部の面々は普段来ることのない場所へと足を運んでいた。木々に覆われ薄暗いここは、確かに雷門中の敷地内ではあるのだが、転校してきてまだ短い 花織に とっては存在すら知らない場所であった。

「不気味なところ……」

花織が小さく呟く。曇り空で雰囲気もどこかおどろおどろしい。開けた場所には盛り土のようなものにイナズママークの扉が固く閉ざされている。それは防空壕を彷彿とさせた。

「ここは雷門中学七不思議のひとつ、開かずの扉。……昔ここで生徒が忽然と姿を消してしまった。それ以来ここに入ったものは二度と戻ってこないという」

部員たちが目金の怯えた声に各々反応する。中には目金と同じように表情を引きつらせ、恐怖を露わにしているものもいた。それほどこの学校の七不思議というものは怖いものなのだろうか……?いまいちピンとこない花織は首を傾げる。

「ね、一郎太くん。七不思議って?」
「ん?ああ、俺はあんまり詳しくないんだが……」
「何処の学校にでもあるようなやつと、そう大差ないよ」

目金らの怯えように呆れ調子の風丸に花織が問いかければ。言葉を詰まらせた風丸にマックスが言葉を続けた。マックスは横目で怯える部員たちに視線を向け、楽しんでいるように見える。

「もしかして、花織怖いのか?」
「ううん。こういうのは大丈夫かなあ……。まあ、実際に体験すれば分からないけどね」

半田の茶化すような声に至極真面目に花織は答える。彼女の様子は言葉通り、怖がっている様子は微塵もなく、余裕すら見える。他のマネージャー、秋と春奈は怖がって互いに身を寄せ合っているというのに。

「可愛くないなあ~」

怖がりだったのなら面白いのに。と言わんばかりの口調で半田が笑う。その時、ふっと当たりのざわめきが消えた。その場にいた全員が例の扉に目を向ける。その扉が低い金属音を立てながらゆっくりと開き始めた。

「ギャーー!!」
「キャー―!!」
「うわああああああああああ!!!」

開かずの扉と揶揄されるそれが開いた刹那、様々な悲鳴がその場に木霊する。耳を劈くようなその声に風丸が耳を塞ごうと耳元へ手をやると、弱い力でジャージの裾が引かれるのを感じた。

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