第1章 それはまさに
「風丸さあん!連れてきましたよ!」
聞きなれた自分を呼ぶ声に風丸は振り返る、と同時に思わず怪訝な表情をしてしまった。
花織を連れ、手を振る宮坂に風丸は再び微苦笑を漏らす。まさか本当に花織をつれてくるとは思わなかったのだ。加えて宮坂の口ぶりだとまるで風丸が
花織を連れてくるように言いつけた風にもとれる。決してそうではないのに。
風丸は花織の表情を窺う、嬉しそうな宮坂に立っている花織は戸惑いの表情を見せていた。
「お前なあ……。勝手なことしてると先輩に怒られるぜ?」
呆れた口調で風丸が言うと、噂をすればという風に宮坂を呼ぶ先輩の声がこちらまで届いた。呼び出しを喰らい、走り去った宮坂に風丸は思わずため息を漏らした。そしてちらりと花織に視線を寄せる。
改めて花織を見ると髪型が違うためか全く違った印象を受ける。今日クラスで感じた印象は、大人しい物静かで目立たないタイプ。多分、俗に言う守ってあげたいタイプ……なのだろうと風丸は感じていた。
しかし今の彼女は活発とは言わないが、凛としていてまるで一匹狼のような雰囲気をまとっている。花織は風丸ががまじまじと自分を見ているのが気になったのか、彼女はさっと目をそらした。
「迷惑……、だった?」
「い、いやっ!そんなことはない」
不安げに問いかける花織に風丸は慌ててそれを否定した。
「そう、よかった。……先輩といるの、ちょっと気まずくて」
柔らかく、そして嬉しそうに微笑む花織に思わず風丸の心臓が大きく音を立てた。よくわからないこのこの鼓動に疑問を感じながらも風丸も花織に笑顔を見せた。