第1章 prologue
ひとり、家へと足を運ばせる。
今の時間、両親は仕事。
家には誰もいない。
家に帰ってゆっくりテレビでもみながら
おひるごはんを食べよう、
そんなことを思いながら歩いていた。
なんとも平穏な平日の昼間。
なんの不満もない、平和な、いつも通りの日。
こういうときは、少しばかり
刺激的な、漫画のような日常を創造してしまう。
しかしそれらは「2次元」とよばれる
「ありえない」世界でこその日常。
ふ、とひとつ息をつき、顔をあげた時だった。
目の前に、真っ黒な車が一台
道路わきに止めてあるのが見えた。