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マフィアの国のアリス

第2章 start point




「わっだっ大丈夫ですか!?!水…!!!」

わたわたと慌てる葵の様子を見て、ティモッテオは能天気に笑った。

「はっは、いい反応だ。
大丈夫さ、ほら」

そう言うと、もう一方の手をメラメラと燃える炎に躊躇いもなくかざした。
しかし、焦げ臭い匂いや痛がる様子もなく、「大丈夫だろう?」と優しく笑って見せる。

「え、ええ?マジックですか……?」

葵も恐る恐る手を近づける。
……熱くない。
目の前で確かに燃える火は、近づけても温度を感じなかった。それどころか

「……なんだか、優しい」

どこか優しく、包まれるように感じた。
そうだ、例えるなら、大空のような包容力。
そしてどこか、懐かしい。

「これが、強さなんですか?」

葵の言葉を聞くと、ゆっくりと頷き口を開いた。
「これは、死ぬ気の炎。
とある条件が揃った者のみが扱うことのできる、守るための力だ。
そしてその守るための超人的な力を最初に手に入れたのが、我々ボンゴレファミリー創始者・ボンゴレI世"ジョット"だった」

最早、葵は話の節々に疑問が生まれていくばかりだった。
何故ボンゴレファミリーをその人は創ったのか?
誰にそんな超能力をもらったのか?
条件とは一体何なのか?

しかし恐らく今聞いたところで、話の節を折ってしまいさらにこんがらがってしまうに違いない。
そう言うものだ、と無理矢理頭に入れて話を聞き、ストーリーを理解するほかなかった。

「ティモッテオ、さん。
聞きたいことが現時点で一杯あるんですけど、今聞いても訳が分からなくなりそうなので、その、最後にまとめて質問します。
だから、教えてください。
私をここに連れてきた理由を…、私、マフィアに関わるようなことをしたことは…!」

何より、話を聞き始めた時から不安だったこと。
現時点で葵は、マフィアという"犯罪組織"に関与してしまっていることは間違いない。
それもきっと、ちょっとやそっとのことじゃない。
下手したら2度とここからでれず、人生を終えてしまうんじゃないか。

不安が不安を呼び、葵は兎に角「自分の身が安全である」という確信が欲しかった。


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