第2章 正義のヒーロー参上
目を疑った。
まず、思った事がそれだった。吐き出る感情は一つもない。ただ、薄く震えた息が吐き出されていた。
夜風に当たって、帰ってきたと思えばこれだ。家の前に血塗れの人が倒れていて、周りの外壁には血の跡、隣には血のついた金属バットが転がっていた。
「ちょっと大丈………!!?」
兎に角、声をかけようと意を決して駆け寄れば違和感に気付く。
外壁についている血は、とてもでは無いが、一人の、この少女だけの血とは量からして考えにくかった。それに、近くに金属バットが落ちているにも関わらず、見た限り、彼女に外傷は見られなかった。
いったいなんなんだ。頭がパンクしそうだった。
一度起こそうかと思ったがここで起こして殺されてはたまったものではない。別に、遅かれ速かれ死ぬのだから、今更死ぬ事への恐怖など、皆無に等しいが。
………そうだ。そう言うことか。蛇は主の元へ集まる習性があるのだ。
僕がこの子を見つけた事、よく解らないけれどここに彼女が居ることは、単なる偶然では無くて、誰か、、、いや、アイツに仕組まれた必然なんじゃなかろうか。
だとしたら落ち着く事が出来る。勿論、それと共に込み上げてくる怒りは計り知れないけれど。