第2章 正義のヒーロー参上
カラン………。
持っていた金属バットをゆっくり、下に下ろす。
目の前の残骸を見て、冷たく息をはきだした。
これで何人目だろうか。あと何人居るんだろうか…私が殺す人間は。
そんな事を思いながら、赤い目を暗闇に光らせ、目の前に広がるかつては人だった物を消した。
空を見上げれば、満月が居た。ジッと見つめていれば、私は見ていたぞとでも言っている様で気分が悪くなってくる。
まぁ、それは被害妄想に過ぎないのだが。
マスクの下で薄く笑みを作り、何もない視界に広がる世界に、お疲れ様と声をかけた。
それは私が初めて人を殺した時に発した言葉で、内心さっさと殺されればいいものを、と毒を吐く。
私が殺すべき相手は研究所と繋がりのあったもの達のみ。
ズザザザザザ…
頭にノイズが響き、昔の映像が頭をよぎる。最悪だ、と漏らすと金属がぶつかる、甲高い音が先に、それに続きドサリと言う、重く低い音が僅かな範囲の暗闇に響いて消えた。