第3章 少女の思考
タオルを首にかけ脱衣所からきた道を戻っていると、何か話をする声が少し前にある扉の奥から聞こえてきた。
「カノ、まさか昨日寝てないのか?朝帰りなんて…」
「違う違う!ちょっと目が覚めたから外に出ただけだから!朝帰りじゃないから!!」
「ふーん、、、それはどうでもいいんだが、雑巾なんて手に持ってどうしたんだ」
「どうでもいいの!?えっと、これ?壁に落書きしてあってさぁ、落としてきたんだよねぇ」
壁に落書き………?そんなもの昨日は…と思いハッとする。
そうか、昨日倒れたせいで、血を拭き取って無かった。
それをカノはわざわざふいてくれていたのか…。
申し訳ないなと思いつつ危なかったと思う。
カノは落書きだなんて誤魔化していたが、拭き取る前を見ればあきらかに、落書きでは無いことがわかるだろうし、
ここに住んでいるのであれば家から出たとたん、あの光景が目に飛び込んでくるのだ。いい気などしないだろうし、まだ朝方なため、血生臭い臭いが残っているかもしれない
ふぅ、と息を吐き出して、声のする方へ歩いてけば、声も次第に大きくなってきた。
「落書きなんて一度も無かったのにな、というか赤しか使われてなかったのか…少しきみがわるいな」
「ま、キドが夜中見たら気絶するたろうねぇ」
「な、馬鹿にしてるのか!」
キドと言われる人物が突然怒鳴ったのでドアノブにかけようとしていた手を引っ込めた
口調こそ男だが綺麗で透き通る様な声色からして、女性だろう。
まだギャイギャイ言っていて、入りにくいなと思いつつ、入るしかないと決心を決め、ドアノブを捻り、前へとおす、それとともに中にいるであろうカノに声をかけた
「カノ、着替えありがとう、風呂も助かっ、、、」
あたかも今来ました感を装って、頭をわさわさとタオルでふきながら、前を見ずに話始めたのがいけなかったのだろうか。
まずい、失敗した、と何故か失敗も成功もないのに、そう思ったのは、緑色の髪をポニーテールにして結わえたキドと呼ばれし人物が、目も口もぱっくり開けて、此方を信じられないという顔で見ていたのだ。
すーっとゆっくりカノに視線を移すと、カノもやばいという顔をしていた。どうやらやらかしたらしい。