第14章 再テストの結果はどうだった?
「お、遅れましたー....。」
練習中のみんなの邪魔をしないように体育館に入る。
「遅かったね。」
「...あ、赤司くん。」
「テスト、そんなに時間がかかったのか?」
「....うん。」
咄嗟に嘘をついた。
自分でも分からないうちによく分からないとこにいた、なんて誰がそんな話を信じるだろう。
だから、嘘をついた。
「....柏木、部活後話したいことがあるから残ってくれ。いいな?」
赤司くんは笑顔でそう言った。
なにもやましいことがなければ、その笑顔はただ綺麗に見えただろうが、今の私にはその笑顔が怖くて仕方なかった。
「....う、うん。」
「さ、虹村さんにも伝えておいで。」
「....う、うん。」
赤司くんと目を合わせるのが怖くてそのまま虹村さんのところに行った。
「虹村さん、遅れた....ました。」
「相変わらずだな、オメーは。」
「....ごめんなさい。」
敬語のことだろうか....。
ここは素直に謝る。
「ま、いいけどよ。で、なんで遅れた?テストにしちゃあ、時間かかりすぎじゃね?」
「....えっと....。」
自分でも何してたか分からないなんて言えない....。
どうしよう。