第10章 今日のラッキーアイテムは何?
あることが気になって、廊下を歩いていた緑間くんの名前を呼ぶ。
「....緑間くん。」
「柏木か。なんなのだよ。」
「....。」
「黙ってないでなんとか言うのだよ。」
考えてなかった....。
名前を呼んだのはよかったが、なんて言おうか考えてなかった。
どうしよ。
はやくしないと緑間くん怒ってどっか行っちゃう....。
「用がないならもう行っていいか?」
「....えっと、ね。うーんと....。」
私が言葉を探してもたもたしていると緑間くんの顔が怖いものに見えてきた。
実際はそんなことないと思うのだが、私の幻覚だと分かっているが、怖くて仕方がない。
「....やっぱり、なんでもない。引き留めてごめん。」
「そうか。」
勝手に口が動いて緑間くんとの会話が終了してしまい、ため息をつく。
なんで私って、自分の言いたいこと言えないのかなぁ...。
自己嫌悪に陥って、もう一度ため息をついた。