第8章 食事をしよう
みんなが食べ始めても私はじっと食事を見ていた。
「由良ちゃん、食べないの?」
「....ううん。食べる...から....。」
食べるだけ....食べるだけ....。
思い切って箸を持つ。
箸の持ち方ってこれで合ってるかな...。
箸を持つの久しぶりで分かんない....。
隣のさつきの手を見て箸の持ち方を治す。
練習しなきゃなぁ。
食べないとマネージャーやらせてもらえないし。
ため息をつきながらまずみそ汁を一口飲む。
味....ないなぁ...。
せめて味があればもうちょっと楽しく食べられるんだけど....。
次に焼き魚に手を出す。
なにこの魚。
食べ方分からない。
ふと正面の赤司くんを見てみた。
わぁ...すごい綺麗に食べるなぁ。
私とは大違いだ...。
やっぱり完璧だなぁ、赤司様...。
「柏木、俺の顔に何かついているかい?」
えっ?
あ、見られてるのがばれたのか。
慌てて首を横に振る。
「そうか。」
そう言って、また食べ始めた。
私もこの魚食べるの頑張ろう....!
赤司くんの食べ方を見ていてひそかにそう思った。