第27章 夏祭り
「あれ~、さっちんと由良ちんじゃーん。こんなとこで何してんの~?」
「あ、むっくん!」
ナンパをどう撃退しようか悩んでいたところ、私たちに突如声を掛けてくる人物が現れ、私たちをナンパしていた男たちは突然現れた紫原くんにビビってどこかへ行ってしまった。
紫原くんに礼を言うが、何に対しての礼か分からないようだ。
そこが紫原くんっぽいが。
「私たちは二人でお祭り楽しんでるの。紫原くんは誰かと一緒に来たの?」
「赤ちんと一緒に来たんだけど赤ちんは将棋の大会があるからっていって別れたんだ~」
「そうなの。じゃあ今は一人なんだ?」
「うん。」
「何か食べた?」
「うん!いっぱい食べたよ~。焼きそばでしょ、タコ焼きでしょ、イカ焼きにりんご飴、焼きトウモロコシをこれから食べようと思ってるんだ~。」
「いっぱい食べたのねぇ。」
食べ物の話を振ると、本当に嬉しそうに笑顔で話してくれる。
「うん!まだまだ食べるよ〜!じゃあ、二人ともばいばーい。」
「ほどほどにね〜」
「ばいばーい、紫原くん。」
まだ食べ足りない紫原くんと別れ、私たちもナンパ男のせいで忘れかけていた焼きそばを買う。
座れる場所に移動し、二人で焼きそばを食べる。
「おいしいね、この焼きそば!やっぱお祭りで売ってる焼きそばはその辺のと違うね!」
「そ、そうかなぁ...?」
私とさつきのリアクションの違いは置いておきましょう。
なんたってテンションが違いますから。
さつきは話を聞く限りだと毎年のように来ているらしい。それに比べ私は、今日は本当に久しぶりのお祭りなのだ。
次はいつ来られるか分からないお祭りなのだから今目一杯楽しんでおかないと損するだけだ。