第27章 夏祭り
「ねね、何食べる?」
「私りんご飴食べたーい。」
「あ、私もー。」
女の子同士、手を繋いでりんご飴の屋台へと向かう。
「おじさん、飴二つくださーい。」
屋台の前に着き、代金を支払ってからたくさんある飴の中から好きなものを選ぶ。
「こんなにあると迷っちゃうね~。」
「そうだね。私、これに決めた。」
「じゃあ私はこれ。」
二人とも選び終わり、その場を離れた。
二人で歩きつつりんご飴を舐める。
「ん~、おいしい!」
「あはは、由良ちゃんたら大げさなんだから。」
「だってりんご飴食べるの久しぶりなんだもん!」
「へえ、そうなんだ。」
私にはしゃぎすぎだと笑う隣のさつきも笑顔で飴を舐めているがそのことには触れないでおこう。
りんご飴を食べ終わった私たちが次に向かったのは焼きそばの屋台。
美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐる。
「おいしそうだね~。」
「そうだね。」
屋台の前には少し列が出来ていたので並んでお喋りをしていた。
「ねえねえ君たち!可愛いね、二人で来てるの?良かったら俺らと一緒に回らない?」
突然そこに現れた二人組の男。
どうやら私たちはナンパされているようだ。
さつきも私も可愛いから仕方ないけれど、仮にも中学生をナンパするってどういうこと?
今はこういうのが当たり前なの?
正直大してイケメンでもない男たちに興味はないので私は無視したが、さつきは言い訳にクラスの男子と来ていると男たちに伝える。
だがそんなことで引き下がる男たちではないだろう。
「そんな男どうでもいいじゃん。俺たちと遊ぼうよ。」
そう言いながらさつきの手を掴む。
全く、男たちがいくつか知らないけどね、いい大人ならもっと女心勉強してから来なさいよね。
これならまだあの置いてきた色黒猿の方がマシだわ。
ったく、大事な幼馴染がナンパに遭ってるっていうのにあの色黒は何してんだか。
私は今はこの場にいない青峰くんへの不満を心の中で漏らす。