第27章 夏祭り
焼きそばを食べ終わり、次に何を食べるか再び屋台を見て回る。
すると突然さつきに腕を引っ張られた。
さつきの目当ての屋台は、ヨーヨー釣り。
「さつき、これ食べられない屋台じゃないの。本当にやるの?」
「由良ちゃん、食べるだけがお祭りじゃないよ?せっかくだし由良ちゃんもやろうよ!」
私は食べられる屋台にしか興味がなかったのだが、さつきがどうしてもという目で私を見るものだから仕方なくお金を払ってさつきと二人でヨーヨー釣りに挑戦することになった。
さつきは目当てのものが見つかったようでそればかりを狙うがなかなか取れない。
私は目当てのものも特にないので、目の前にある手近なヨーヨーでも釣ろうと考える。
が、思っていたより難しかった。
「全っ然、取れないんだけど。」
「本当にねー。難しい。」
「あれ?桃井さんと柏木さん?」
二人で取れないと言い合っていると、ふと後ろの人混みの方から名前を呼ぶ声が聞こえた。
なんとなく聞き覚えのある声だなと思いそちらを振り向いてみると居たのは黒子くん。とその隣には緑間くんが。
「テ、テツくん!」
「と緑間くん。二人一緒だなんて珍しいじゃん。」
「俺をついでみたく言うんじゃあないのだよ!」
「桃井さん、柏木さん、こんばんは。」
黒子くんを見た時のさつきの顔は憧れの王子様に会ったお姫様のよう。
さつきが緑間くんを無視し名前も呼ばなかったので私がさつきの代わりに緑間くんの名前をついでのように呼んでみたところ、緑間くんが怒り出した。
そんな緑間くんを他所に黒子くんは私たちに挨拶してくれた。
いつでも冷静なこった。