第27章 夏祭り
みさきなでしこside
「夏祭り?」
「うん。今日の夜なんだけど、どう?」
「行く行く!」
「良かった!じゃあ今日部活終わった後神社前に集合ね!」
部活のタオル洗いの最中、暑さに負けじと外の水道でさつきが突然その話を持ち掛けてきた。
久々の女子トークに花が咲く。
夏祭りなんていつぶりだろう?さとりんに連れてってもらって以来かなぁ?あー、楽しみ―!
部活の最中だということを忘れかけ、話の余韻に浸っていたところ後ろから突然声が掛かった。
「二人とも、お喋りに花を咲かせるのはいいが、今は部活中だ。そういうものは休憩時間にやってくれ。」
驚き、後ろを振り向くと、そこには微笑を浮かべた赤髪の魔王様が立っていた。
「あ、赤司くん...!」
「はーい、すみませーん。...ていうか、何でこんなところにいるの?もしかしてサボり?」
「そんな訳ないだろ。たまたま通りかかっただけだ。」
「あはは、そんな怖い顔しないでよー。冗談だって。」
ひらひらと手を振って誤魔化すが、私の言葉が気に障ったようで怖い顔は直らない。
そんな赤司っちの背中を体育館の方に少々強引に押して送り出した。
「練習頑張ってー。」
「はぁ~、びっくりしたぁ...。いきなり現れるんだもん、ほんと驚いちゃった。」
「音もなく現れたよね。あんたは忍者かって感じで気配なかったし。」
赤司っちが体育館の方に歩いていってしまってから、さつきと二人でさっきのことについて手を動かしながら話す。
さっきのことでまた二人のお喋りに花が咲く。
タオルを洗い終えるまでそれは続いたのだった。