• テキストサイズ

トリップしちゃいました

第26章 風邪っぴき


「...ただいまー。」


家のドアを開け、玄関でそう言ってみるが、返事は帰ってこない。


当たり前だ。


虹村さんたちにはこの家に二人暮らししているように言ったが、実際にはこの家には一人の人間しかいないのだから。


虹村さんの家は明るくて暖かくて優しい色に包まれていた。


眩しすぎる家だった。


私には、暗くて暑くてじめじめしたこの家がお似合いだ。


靴を脱いで、自分の部屋に入る。


電気を点けて写真立ての中の写真に向かって微笑んで話しかけた。


「帰ってくるといいね、だって。そんなこと出来るわけないのに、ねぇ?お母さん。」


/ 432ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp