第26章 風邪っぴき
それにしても寒い。
みんなが居なくなって数分、布団に包まっていたらふとそう思った。
クーラー止めよう。そう思い、ベッドから降りようとしたその時思い出した。
虹村さんがついさっきここまで運んでくれたことを。
虹村さんがせっかく運んでくれたのにこんなすぐ移動するのはどうなんだろう。
でもこのまま寒いの我慢してまた悪化したら嫌だな。もうこれ以上虹村さんとその他の人たちに迷惑かけたくない。
頭の中で考えが二分している。
布団に包まって数分。私の出した決断は、クーラーを消しにベッドから降りる、だった。
やっぱり早く体調を治して虹村さんたちに元気な姿を見せたかった。
そして休んでいた分、みんなの力になりたかった。
クーラーの電源を落とす。
それでもやっぱり冷蔵庫の中みたいにキンキンに冷えているこの室内は寒くて、少しの間だけ窓を開けて熱気を呼び込むことにした。
そしてベッドの布団の中に戻った。
窓を開けたせいもあり、室内は寒さと熱気が混ざった絶妙な温度になっている。
それが丁度眠気の誘う温度で、私の瞼は気が付くと閉じかけていた。
開こう、開こうとしている瞼は数分もすれば閉じてしまい開こうと力を入れても薄らぼんやりとしか開かない。
その状態で薄れようとしている意識の中で私が最後に見たのは、窓から入る風に揺られたカーテンだった。