第26章 風邪っぴき
結局私はお弁当を全部食べ切った。
それを虹村さんに褒められて嬉しくなる。
「すげぇじゃん。いっつも残すのにな。...あと、これ飲んどけ。」
虹村さんから渡されたのはスポーツドリンクのペットボトル。
虹村さんに言われた通り、それを飲んだ。
「オメーがあんま汗かかない体質でも怖い夢見ると結構汗かくだろ?その時のために、だ。今も熱あんのに脱水症状起こして熱中症にまでなったら大変だからな。」
そんなことまで考えてくれてるんだ...。やさしい人だなぁ。
「ありがとう。」
気持ちを込めてお礼を言う。
まだ部活が始まるまで時間があるのか、みんなはどこからか持ってきたトランプをしていた。
私がじっとそれを見ていたからなのかテツヤが私の視線に気づいてベッドで横になる私に声を掛けてきた。
「柏木さんも一緒にやりませんか?」
「...いいの?」
「歓迎するっスよ!」
「由良ちゃんも一緒にやろう!」
テツヤの誘いにのるか迷っていたけれど、黄瀬くんとさつきが笑顔でおいで、と言ってきたから素直にみんなの輪に混ざる。
みんなというのは、テツヤ、黄瀬くん、さつき、虹村さん、紫原くん、青峰くんのことだ。
赤司くんと緑間くんは部のことで話があるらしく、今は保健室にいない。
ババ抜きをやっていたらしく、勝負が終わったところから混ぜてもらった。
虹村さんには寝てろ、と言われたけど、寝ながらではババ抜きが出来ないからと、布団を羽織って、つらくなったらすぐ言うことを条件に参加することになった。
さすがに人数が多いと一人が持つカードの枚数も少なくなる。
私の手元にも四枚しかカードがない。
順番は、虹村さんから時計回りということで、虹村さん、私、さつき、紫原くん、青峰くん、テツヤ、最後に黄瀬くんの順で引くことになった。