第26章 風邪っぴき
「...ん、あ...?」
「起きたか?」
光が眩しくて目が開かない。
腕で目を覆ってから目を開ける。
それから何度か瞬きを繰り返し、腕を覆うのを止めるがやっぱり眩しくて横を向いた。
わたし、どれくらい寝てた...?
「おーい。」
こえがきこえる。
手を体の横に付き、ゆっくり起き上がる。
しばらくは枕を見つめていたが、ふと横を見るとそこには虹村さんと赤司くん、それとさつきがいた。
人の気配があるな、となんとなくは分かっていたけど三人もいるとは思わなくて驚いた。
「おはよう、由良ちゃん。」
「おはよう、柏木。調子はどうだ?」
虹村さんは二人に言いたいことを言われたのか黙っている。
「おはよう。...さむい。」
消して寝たはずのクーラーがついている。
「わり。暑かったからつい付けちまった。温度上げるな。」
私が寒いと言ったから虹村さんが温度を上げに席を立った。
今まで当たっていたであろう風が少し弱まって寒さがやわらいだ。
「熱は?まだあると聞いたが。」
虹村さんの手の甲が額に当たる。
仕方ないことだけど、少し汗ばんでいて汗くさい。
「また上がったんじゃないか?」
「...上がってない。」
「とりあえずこれで測るんだ。」
赤司くんに渡されたのは体温計。
さつき以外は後ろを向いた。
ピピと音が鳴ると、それをさつきに渡す。
「37.8℃か。」
体温計の温度を読み上げると後ろを向いたままそれぞれのコメントが返ってくる。
「下がんねぇな。」
「処方された薬はちゃんと飲んでいるのか?」
「薬は飲んでない。」
赤司くんの疑問に答えると、さつきと赤司くんがどうして飲まないのか聞いてきた。
また説明しないといけないのか。面倒くさい。