第26章 風邪っぴき
虹村side
生きてるのを、確認してた...?
今こいつはそう言った。
「何のために?つか、なんでそんなことしてんだよ?」
俺は意味が分からなかった。
何故首に手を掛けたのか、あの言葉の意味は何だったのか。
俺はベッドの軋む音で目が覚めた。
こう見えて結構小さい物音で起きてしまう。
最初は柏木が起きたんだろうとトイレか何かかと思い、気にしないで目を瞑っていたがそれが思い違いであることが分かった。
部屋のドアを開ける音もしない。
ただ布団の隣に人の気配があった。
そろそろ何やってんだと柏木に言ってやるつもりで決心して目を開けようとした。
だが頬を両手で包まれ、小さく震えた声で何か言っているのが聞こえて大人しく目を瞑っていた。
言葉を発し終わった後も首に手を掛けていたから俺はそろそろ起きて、柏木に声を掛けた。
「...よかった。死んでるかとおもった。」
柏木は起き上がった俺を抱きしめてきた。
「人がそう簡単に死んでたまるかよ。...どうした?何か嫌な夢でも見たか?」
きっと熱にうなされて嫌な夢でも見たんだろうと思った俺はそう聞いた。
「...こ、え。声、がきこえた。」
「声?どっから?」
「...あたま。たまに聞こえる。こえ。」
こいつ、何言ってんだ?
でも嘘を言ってるようにも見えない。
じゃあ本当なのか?
体を震わす柏木の頭を撫でる。
とりあえず部屋の電気を点けて柏木をベッドに上げた。