第26章 風邪っぴき
由良side
『*****。』
ちがう。
『お前には永遠に幸せは来ない。お前の望むものは何も手に入らない。』
そんなことない。
『*****がこのまま平穏に暮らせると本気で思っているのか?』
わたしは、ちゃんとつぐなった。
『*****....*****...***...』
ちがう、わたしじゃない、わたしはなにもやってない!
「...っ...。」
目を覚ます。
いきがくるしい、あたまがいたい、あつい、さむい。
こわい...。
私の目にうつるのは暗い天井。デジタル時計の数字。布団に眠る虹村さん。
ベッドの上でじっとしていられなくて起き上がってベッドから降りる。
そして、布団の横に座って眠っている虹村さんの顔を見た。
虹村さんの頬を両手で包むようにして触る。
「にじむらさんは、寝てるだけだよね?死んだり、しないよね?...起きてよ、お願いだから。起きて、生きてるって証明して。」
私はそう、眠る虹村さんに言った。
今度は首に手を掛ける。
「...あったかい。」
「おい、何やってんだよ。」
「っ。」
寝ていたはずの虹村さんの声が聞こえた。
また、幻聴...?でも、響いて来なかった。
本物?
「...まずはその首の手を外せ。」
色々考えていると再び虹村さんの声が聞こえた。
今度はさっきよりはっきりと。
ふと虹村さんの顔を目を開いているのが確認できた。
私が首から手を離さないでいると、私の手を掴んで自分の首から私の手を外した。
そして、起き上がってこっちを見る。
「もう一度聞く。お前は今俺に何しようとしてた?」
虹村さんが私を睨んで質問してきた。
でも今の私にはそんなことはどうでもよくて。
「...生きてるのを確認してた。」