第26章 風邪っぴき
虹村side
柏木が布団にくるまって5分ぐらい経った。
ベッドの上でこんもり存在している布団はピクリとも動かない。
俺は恐る恐る布団をめくってみた。
ねて、る...?
何度か名前を呼んでみたが、反応はなく、どうやら寝ている様子。
それにしてもさっきは驚いた。
柏木があんなに興奮して叫ぶなんて。
「ごめんな。」
ベッドの上で丸まって寝る柏木の頭を撫でてそう言った。
そして、柏木の膝の裏と背中の下に手を入れ、体を持ち上げて仰向けに寝かせ、布団を掛けてやる。
今は穏やかに眠る柏木の頬を撫でる。
意外に柔らかい...。
興味本位で頬を突いてみたら案外弾力が。
あんな軽いからもっと痩せてると思ったが案外そうでもないのか?
一人、自問自答する。
「俺の言いたいこと、伝わったかー?朝になったら忘れてるとかなしだぞ。というか、あの日っていつのことだー?」
眠る柏木の顔を眺めながら言う。
あの日が何の日か分かったら、ちょっとはオメーのこと分かってやれんのかね。
俺もそろそろ寝るか。
布団を下の物置から持って来よう。
階段で下に降りると、ちょうどそこにおふくろが来てさっきの騒ぎのことを聞かれた。
あんな叫んでたら聞こえてないはずないか、と軽く思いながらおふくろの軽い説教を聞き流して物置に直行する。
普段は使わない客用の布団を持って二階に上がり、自分の部屋へ。
「おやすみ。」
ベッドの横の敷布団の上でベッドの柏木にそう言ってから電気を消して布団に入った。
虹村side終わり