第26章 風邪っぴき
「オメー何やってんの。布団を抱き枕にして。」
「...あそんでた。」
「あそんでたって、オメーなぁ...。ほら、病人は大人しく寝てる。」
「...やだ。」
「やだじゃないの。」
ふいにガチャリと音がしてそっちを向くと、虹村さんのお母さんが部屋に入ってきた。
「なんか用か?」
「由良ちゃん、修造からお薬飲んで吐いたって聞いたんだけど、そういうことって初めて?」
「...ううん。」
「前にもあったのね?」
「うん。」
「もしかしたら処方された薬が体質的に合わないのかもしれないわね。」
「どういうことだよ?」
「薬が合わないと副作用が強く出たり、逆に具合を悪くする場合があるのよ。」
虹村さんのお母さん、詳しい...。
私の話も聞いてほしくて虹村さんのお母さんの腕を引っ張る。
それに気づいて私と目線を合わせてくれた。
「何かな?」
「...昔の主治医だった人が、私は薬に対する拒否反応が強いから飲まなくていい薬は飲まない方がいいって言ってた。」
「あら、そうなの?」
「オメー、薬飲んでああいうことになるって分かってやがったな?なんで言わねぇんだよ。」
「...だってそんなの、ただの薬飲みたくない言い訳にしか聞こえないから。」
「...それもそうね。でもね由良ちゃん、信じてくれそうもなくても一度声に出して主張することが大事なの。だから次はそうしよう。ね?」
「うん。」
「よし。じゃあ薬は飲まない方向で民間療法でいこう。そうと決まれば準備ね~」
虹村さんのお母さんは楽しそうに何か言いながら部屋を出て行った。