第26章 風邪っぴき
由良side
「...れ...ろかえ...と...」
「そ...か...」
「え...ちゃ...か...」
だれ。こえがきこえる。
目を開けて、何度か瞬きする。
「ん...。」
「お。起きたみたいだぞ。」
「あっ、由良ちゃん起こしちゃった?ごめんね。」
「...ここ、わたしのへやじゃ、ない。...どこ?」
「由良ちゃんの部屋のベッド、シーツと枕と布団、洗濯中なの。だから蓮花ちゃんの部屋借りちゃった。」
見知らぬ天井、見知らぬ部屋の雰囲気に急に不安に駆られてさつきに抱き着いた。
「えっ、え...どうしたの、由良ちゃん?」
「やだ、ここ。...万華鏡の部屋がいい...。」
さつきが戸惑うのも気にしてる場合じゃない。
今はとにかくこの部屋から出たい一心でさつきに抱き着いていた。
「分かった。分かったからとりあえず桃井から離れろ、柏木。」
突然どこからか現れた赤司くんに諭されてさつきから離れる。
「ほら、乗って。」
背を向ける赤司くんの背中にもたれかかる。
私は赤司くんにおぶられて部屋を移動する。
途中、赤司くんの背中に顔を埋めてみたらいい匂いがした。
万華鏡の部屋に移ってベッドに降ろされてから気づいた。
虹村さんがショルダーバッグを背負っていることに。
「にじむらさん、かえるの。」
「ん?あぁ。」
「....。」
「急に黙ってどうした?寂しいのか?」
頭に手が乗っけられて目線を合わせられる。
「...さびしくないもん。」
虹村さんと目線を合わすのが嫌でそっぽを向きながら頭に乗っかった手を掴んで離さない。