第26章 風邪っぴき
由良side
嗚呼、薬が体に染みていく....。
このままわたしは死ぬのかな。
あの人みたいに。
テーブルには風邪薬もあったはず...だったらそれだって立派な毒だよね...。
わたし、また*されるの...?
そんなの嫌だ。
「い、や...。」
きもちわるい。吐きたい。出さなきゃ、毒を今すぐに。
でなきゃ、わたしは死んじゃう。
そんなの絶対に嫌...!
「うえっ....。」
きもちわるい。吐かなきゃ。死にたくなければ、はやく。
起き上がって枕の上に嘔吐物をまき散らす。
激しく咳き込んで体の中の異物を全て出す。
胃液のみが出てくるようになったら咳き込むのを止めて呼吸を整える。
「おい、大丈夫か...!?」
声が聞こえてそっちを向くと、虹村さんがいた。
「...くすり、ぜんぶ出せたから、もう大丈夫...。」
自分に言い聞かせるように虹村さんに大丈夫という言葉を繰り返す。
「は?」
「これで、もう、だいじょうぶ。」
ふっと意識が飛んでしまった。
虹村side
柏木が寝てから三十分ぐらいすると、顔が段々険しくなっていった。
すると突然、うめき声を上げて起き上がった。
と同時に咳き込みながら枕の上に吐き出した。
俺は驚いて数秒ぐらい固まっていたが、すぐ柏木の背中を擦りながら大丈夫を繰り返した。
「おい、大丈夫か?」
落ち着いたところに声を掛けると、柏木は俺に何度も大丈夫だと繰り返し言ってきた。
その後、こいつは気を失った。
とりあえずこれ、片づけるか。
柏木が吐き出したものを見てため息をつき、リビングにいる奴らに向かって大声で名前を呼んで来てもらう。
虹村side終わり