第26章 風邪っぴき
私が次に目覚めたのは、自分のベッドの上だった。
「目、覚めたか?」
「...あつい。」
「汗かいてるしな。ほら、熱測れ。」
体温計を渡される。
あれ。この人、なんでここにいるの。
虹村さん。
「なんで、ここにいるの。」
「赤司に連れて来られた。」
ぴぴっ
体温計から音が鳴った。
「何℃?」
「んと、39.3℃?」
「なんで疑問形なの。ほれ、体温計貸してみ?」
虹村さんに言われて体温計を渡す。
「高けぇな。とりあえず、飯食ってから薬あるし飲むか。」
「ん。」
「お粥と薬な。さっき赤司にこれ渡されたんだけど、いる?」
虹村さんに渡されたのは薬を飲むゼリーだった。
「水でいい。」
「そうか?」
「うん。」
「じゃ、熱いからちゃんと冷まして食べるんだぞ。」
スプーンを渡されて早速食べ始める。
味もしない、ただ熱い、噛みごたえもないお粥。
食べるのが苦痛でしかなかったけれど、そんなことをいうと怒られるから何も言わず黙って食べていた。
でももう食べられない。というところで手を止める。
「もう無理か?」
「むり。」
「じゃ、薬な。俺これ片してくるから。」
そう言って、病院で処方された風邪薬を渡され、虹村さんは部屋から出て行った。
私は薬を口に入れて開封状態になっている水の蓋を開けて水を飲む。
薬を飲み込んだのを確認して蓋を閉める。