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トリップしちゃいました

第26章 風邪っぴき


「はぁ...。」


なんかつかれちゃった。


隣に座る虹村さんに寄りかかる。


「おーい、大丈夫か?」


「ん。」


小さく頷く。


あつい。けど、さむい。


身体の熱さとは別に温かい手の感触が額から伝わってきた。


にじむらさんのて、あったかい。


「...高いな。やっぱ看護師さん呼んでくるわ。」


そう言って立ち上がろうとする虹村さんの腕を掴む。


「よばないで。やだ。」


「やだって言ったってなぁ...。つらいだろ?」


「つらくない。」


「嘘つけ。とにかく呼ぶからな。」


虹村さんは本当に呼びに行く気満々のよう。


「痛っ...。おい、オメー一体どっから力出してんだよ。」


虹村さんに何を言われてるのかいまいちよく分からなかった。


ただ虹村さんを行かせたくなくて腕を掴んでるだけだった。


力云々のことは本当に無意識だった。


虹村さんはそれで呼びに行くのを諦めたらしい。


「ったく、さっきは痛かったぜ...。ほんと、どっから力出してたんだ...?」


虹村さんは隣でぶつぶつ独り言を言いながら私の左手を触っている。


それをぼんやりとした頭で見ていた。



「にじむらさん、ねむい。」


「ん?眠いんなら寝ていいぞ。」


「うん、ねる。」


そんな短い会話を交わしてから目を閉じた。


目を閉じる前、頭に手が乗る感触があった。


本当にこの人の手は心地いい。
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