第26章 風邪っぴき
「ありがとうございました。」
診察室から出て扉のところでお辞儀する。
「どうだった?」
「...風邪だって。」
「そうか。」
診察室の前の椅子で待っててくれた赤司くんと緑間くん。
「受付の前の椅子で待っててください、って言われた。」
「それじゃあ、行こうか。」
二人が椅子から立ち上がると、トイレに行くという緑間くんと別れて赤司くんと二人で受付の前の椅子のところに行った。
お昼時ということもあるけど、ある程度大きい病院だからか人が多い。
その中から空いてる椅子を探して二人で座った。
30分ぐらいしてようやく名前を呼ばれて赤司くんと受付に行く。
宣言通り赤司くんがお金を払ってくれて、薬も説明を受けて受け取った。
さあ、あとは帰るだけだと思った時、ふと思い出した。
「...緑間くん、どこ?」
「さて、どこだろうね?さっきから携帯にかけてはいるんだが出ないんだよ。」
「迷子...?」
「緑間に限ってそれはないと思ったが、帰ってこないところを見ると...そうだろう。」
緑間くんも迷子になるんだね...。びっくり。
でもこれで薬飲むのも遅くなるし、いっか。
「柏木、立ってるのつらかったら椅子に座ってていいよ緑間は俺が探しに行くから。」
「うん。」
赤司くんにそう言われて大人しく椅子に座る。
「じゃあ探しに行ってくるからここで大人しく待ってるんだよ。」
赤司くんは私の頭に手を一回置いてから行ってしまった。
赤司くん、行っちゃった...。
知り合いがいなくなり、気が抜ける。
気が抜けると今まで感じていないかった疲れが出てきた。
座っているのも疲れてきて、でも隣に人がいて横になることも出来なくて。