第26章 風邪っぴき
由良side
病院なんか行きたくない。
気持ち悪い。
薬もらいにいってもどうせ飲めないのに。
「柏木、大丈夫か?」
緑間くんの背中で揺られていると、ふいに赤司くんが聞いてきた。
私は答えたくなくて緑間くんの背中に顔を埋める。
「おい!」
すぐに緑間くんが声を上げて止めるよう言う。
「聞いているのか?」
「んー。」
「柏木?」
「へいき。」
「それならいいが、つらかったらすぐ言うんだぞ。」
「ん。」
少しの間目を瞑ることにした。
「...い...おい...!」
体が揺すられる。
だれ、わたしをゆらすのは。
「ん...。」
目をゆっくり開けて、瞬きを繰り返す。
段々目の前がはっきりしてきて状況の把握をする。
まず、ここ、どこ?
「ここは...?」
「病院だ。着いたぞ。」
「びょういん...ついた...?」
赤司くんの声でそう言われたが、最初は何を言われているのか分からず数秒、ぼんやりした頭で考えた。
考えて、病院に到着したことが分かった。
「あ。」
私はまだ緑間くんの背中におぶられていることを知った。
「降ろすぞ。」
そう言われて降ろされる。
何も支えがなくなって、少しふらっとしたところを赤司くんに支えられた。
その後赤司くんは受付をしにいった。