第26章 風邪っぴき
「じゃ、着替えよっか。ボタン外すね。」
さつきの言葉に頷く。
私は何もしなくていいと言われたから、たださつきのやることをじっと見ていた。
「やっぱり由良ちゃん細くて羨ましい...。」
服を脱がせたさつきが私の体を見て言った。
私はさつきのスタイルがうらやましいと思うけど。
「はい、終わり。赤司くん呼んでくるね。」
そう言って部屋を出て行ったさつきを見送った。
数分もしない内に赤司くんだけが部屋に来る。
「熱、測ろうか。」
そう言って体温計を渡されて、赤司くんは後ろを向く。
ピピッ
一分後ぐらいに音が鳴って、表示された数字を見てみる。
39.0℃
それを見てから、赤司くんの肩を叩いた。
赤司くんは振り向くが、すぐにまた元に戻ってしまった。
「柏木、服を整えろ。」
「あ...。」
忘れてた...。
「とりあえず体温計だけくれ。」
そう言われて体温計を渡す。
「高いな...。」
服を整えてから再び赤司くんの肩を叩く。
「柏木、もう少し自分が女性だという自覚を持つんだ。いいね?」
言われたことがどういう意味かはよく分からないけれど、赤司くんにじっと見つめられて首を縦に振った。
「これだけ高いなら病院に行って薬をもらってきた方が良さそうだな...。」
病院、という単語を聞いて赤司くんの腕を掴んで、立とうとする赤司くんを止める。
嫌、病院には行きたくない。
「行かない!」
あ、声出た。
「我儘言うな。」
「いや!」
「嫌じゃない。」
赤司くんと言い合いをしていると、部屋にバタバタ来る足音が聞こえてきた。