第26章 風邪っぴき

由良side



くるしい。いたい。さむい。あつい。きもちわるい。


「...ねぇ....じょぶ....てば...」


こえがきこえる。


だれ？


目をゆっくり開ける。


私の体は揺すられていた。


「あ、起きた～？結構苦しそうだったけど大丈夫～？」


むらさきばらくん。


そう声に出そうと口を開いたけど、声が出なくて少し焦る。


「由良ちん？どうしたの～？」


「...あ...で、た...？」


「由良ちん？...汗びっしょりじゃん。着替える？」


「...ない。」


「ん？」


首を横に振ってなんとか伝えようと試みる。


「着替えないの？」


その言葉に首を縦に振る。


「由良ちんがそうしたいなら別にいいんじゃん？でもちょっと顔色悪そうだしヤバそうだから赤ちん呼んでくる～」


わたし、いまどんなかおしてる？


布団に倒れ込む。


部屋から紫原くんが出て行ってすぐにまた足音がして、その足音が部屋に入ってきた。


「柏木、体調はどうだ？」


「...よ...な、い。」


声があまり出なくて意思表示がうまくできない。


「よくはなさそうだね。」


喋ることも出来なくて、体を起こすことも出来なくて、ただひたすらにだるい。


「とりあえず、汗かいてるし着替えようか。このままじゃ体が冷えるしね。紫原、桃井を呼んでこい。」


紫原くんは何か言いたげな顔で赤司くんを見たけど、結局何も言わずに部屋を出て行った。