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トリップしちゃいました

第26章 風邪っぴき


「食事はしてないんですよね。食欲はありますか?」


「...あんまりないかな。」


フニャリと笑って答える。


「でも薬飲むために少しでいいので食べて下さいね。」


「あ、あのね、黒子くん。」


部屋から出て行こうとする黒子くんの腕を掴む。


「色々買ってきてもらって悪いんだけど、もう一つ買ってきてもらっていいかな?」


「何が欲しいんですか?」


黒子くんはわざわざ俯く私と目線を合わせるようにしてしゃがんでくれた。


優しい...。


「ゼリー...。」


「ゼリー、ですか?」


「薬飲むためのゼリーが欲しいの。あれがないと、薬飲めない...。」


「分かりました。買ってきますね。」


「うん。ありがとう。」


黒子くんは今度こそ部屋を出て行った。


いい大人が薬飲めないなんて恥ずかしい...。


別に飲めない訳じゃないのよ...。ただ癖が邪魔して飲めないだけで...。


って、なに言い訳してるのよ私!


きっと黒子くんもそんな人じゃないって分かってるけど、内心笑ってるんだろうな。


嗚呼...恥ずかしい。



「柏木、お粥を持ってきたのだよ。」


「緑間くん。ありがとう。」


「全く、普段から人事を尽くさないから体調が悪くなるのだよ。お前の星座はなんだ?」


これは説教してるように見えるけど心配されてるの、か?


ふと本来の自分の星座を答えようとしたが、由良の体だったことを思い出して由良の星座を答える。


「...乙女座。」


「乙女座の今日のラッキーアイテムは羽毛の枕だ。その枕はポリエステルか?」


「まぁ、うん。」


私がそう答えるとお粥を置いて部屋を出て行ってしまった。


なんだか嫌な予感がするけど、お粥の匂いにかき消されてしまった。


今まで食欲なかったのになんだかこのお粥が今すごく食べたい気分。


作った人の影響?


でも美味しそうな卵粥...。


いただきます。
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