第26章 風邪っぴき
布団の上に座る。
「柏木、俺たちのことはいいから布団に入れ。」
「...うん。」
赤司くんに言われて布団の中に入る。
「熱は何℃あるんだ?薬は飲んだか?」
「...熱は、知らない。薬も知らない。」
「知らない?」
「体温計がなくて、薬ももしかしたら誰か飲んだかもしれない。」
「....。黒子、体温計と一応薬も買ってきてくれ。」
「はい。」
テツヤが部屋から出ていく。
「食事はした?」
「...知らない。」
「柏木、知らないと言われたら俺たちにも分からないんだが。」
そんなこと言われても知らないんだもん...。
「他の人が食べたかも。」
「他の人?あぁ...。聞くことは出来ないのか?」
「ダメ。...具合悪いと声が聞こえない。でも...コントロールがうまくできないから運良かったら聞けるかも。」
「そうか。...ところで今日親御さんは?」
親という単語を聞いてぼんやりと頭で考えて、それを赤司くんに伝える。
「...さっきまでいたみたいなんだけど、どっか行っちゃった。」
「じゃあ戻ってくるかもしれないんだね?」
「...それはない。」
「何故?」
「なんとなく...。」
ねむい。
赤司くんとの会話を終えると唐突に眠くなってきた。
うとうとしていると、赤司くんに頭を撫でられた。
「眠いんなら寝ていいよ。」
「うん...。寝る...。」
赤司くんの言葉と撫でられた頭が心地よくてすっと目が閉じて意識が遠のいていった。