第26章 風邪っぴき
蓮花side
「ん...」
目を覚ます。
部屋はカーテンに光が遮られて薄暗く、壁に掛けられた時計を見ると時刻は6時。
体を起こす。
私が寝ていた場所はソファーの上だった。
どうりで体中がなんだか痛いわけだ。
コホッ
ん?今のは...なに?
コホッ、コホッ
...咳、だよね?
体中の痛み、だるさ、咳。
まさか、風邪引いた?
ため息をつく。
誰よ、こんなところで寝たのは。
ま、そんなこと言ってもしょうがないか。
少々怒りを覚えたが、すぐに仕方ないと開き直る。
とりあえず体温計、と薬...。
あ。
そういえばこの家、何にもないんだった...。
そう、この家は生活に必要な物はある程度置いてあるが、こういう、緊急事態時のための道具が何一つ無いのだ。
もう...!
寝て治せってことよね...。つらいわ...。
再びソファーの上に寝転がってテレビをつける。
朝のニュース、アナウンサーの人がニュースを伝えている。
株価、個人情報流出、殺人事件、熱愛報道。
私はそんな情報をただぼーっと見て、色んな情報が私の耳をすり抜けていった。
でも、その中でも私の目を引いた一つのニュースがあった。
親が罪のない子供を殺してしまう虐待のニュース。
泣きたくもないのに涙が出てきた。
「ごめんね...。」
そんな言葉が思わず口から出た。
どんどんテレビの中でニュースが移り変わっていくのに私の頭はそのニュースのことでいっぱいになっていく。
感傷的になっているところにふと、どこからか聞こえてくる携帯の電話の音。