第25章 rainy day
気付けばまな板の上にはたこの形をしたウインナーが沢山。
正確には分からないけど、多分30個以上はあると思う。
無我夢中で作っていたらこんな量になってしまった。
「...作りすぎちゃった。」
「大丈夫よ。明日のお弁当に詰めちゃうし、余った分は修造が全部食べるわ。」
とりあえず作りすぎたたこさんウインナーをお弁当に入れる分を抜いて皿に盛り付け、テーブルに持っていく。
「おい、どんだけ作ったんだよ...。」
「たこさんいっぱーい!」
「いっぱーい!」
虹村さんはうんざりしたような目で、修也くんと花ちゃんはキラキラした目でこっちを見る。
「さ、食べましょう。」
みんなでテーブルを囲んで食べ始める。
「柏木、オメーそんなにたこさんウインナー好きなのか?普通のウインナーの方がおいしくね?」
「...そうかもしれないけど、でも、私にとっての憧れだったから...。」
「憧れ?...オメーの母ちゃんはたこさんウインナー入れてくれねぇの?」
「うん。」
入れてくれないよ。
「たのんでも入れてくれないの?」
「うん。」
ウインナーどころかお弁当も作ってもらったことないよ。
「じゃあ、これ、持ってって!」
虹村さんのお母さんが持ってきたのは、さっきお弁当に入れると言っていたたこさんウインナー。
「え、でも。これ、明日入れるって...」
受け取れずにいると、強引に手の中に収めさせられた。
「いいのよ、これくらい。修造のお弁当に入れる分なんていいのよ。」
「なあ、さっきから俺の扱いひどくね?」
「あら?そうかしら?いつも通りよ。」
虹村さんと虹村さんのお母さんとの小さな喧嘩が始まる。
それを見て過ごしている内に時間が経っていった。