第25章 rainy day
「修造から由良ちゃんが来るっていうメールが来てはりきっちゃったのよ~」
テーブルの上には結構な量の料理が並んでいる。
ハンバーグ、シーフードサラダ、コーンスープ、たこさんウインナー、白米、カボチャの煮物、りんご。
「作りすぎだろ!ったく、どんだけはりきってんだよ。」
「...修造がいるからもし食べきれなかったら任せちゃえばいいやと思って。」
「俺は残飯処理かよ。ま、いいや。腹減ったし早く食おうぜ。」
虹村さんの声でみんなが椅子に座る。
私は話に着いていけなくてその場に立ち尽くしていたが、虹村さんに手を引かれて隣の空いていた椅子に座らされた。
「オメーはここ座っとけ。」
「...うん。」
いただきます、とみんなで手を合わせて一斉に食べ始めた。
私も箸を取って、目の前にあるハンバーグを一切れ箸で切って口に入れてみた。
「おいしい...。」
味など感じていなかったはずなのに口からその言葉が勝手に出て自分でも驚く。
「うまいか?そりゃよかったな。」
虹村さんに頭を撫でられてちょっと嬉しくなりながら続きを食べる。
ハンバーグとそれに添えてあるご飯とサラダが少しずつ残ったところでお腹いっぱいになってしまったところで箸を置いて一息つく。
隣を見ると虹村さんは自分の分を食べきっていた。
このまま残すわけにもいかないから、意識の中にいるみさきなでしこに代わってもらうことにした。
周りの人を驚かせないように普段の私を演じるよう言ってから。
私は自分の膝を見つめた状態でふっと意識が飛んだ。
次に目を開けた時には全ての料理がなくなっていて、食べ終わったのだと理解する。
虹村さんのお母さんがお皿を片づけて洗っている間、虹村さんの弟妹と改めて向かい合って自己紹介のようなものをする。