第25章 rainy day
自主練が終わったそうで、虹村さんがシャワーを浴びて部室で着替えるまでの間、私は部室の前で待っていた。
蛍光灯が切れていて電気が点かないらしく薄暗くて、湿気でじめっとしていてそこにいるのが嫌だったけど虹村さんが急いで着替えてくれたから良かった。
「お待たせ。」
「うん。」
「そういや、親に連絡とかしたか?」
「...どうして?」
「うちに寄るから遅くなるだろ?帰りは俺が送るけどさ。」
別にしなくても良かったけど虹村さんがうるさいから携帯で適当な文章を作ってメールで送った。
「送ったか?」
「うん。」
「じゃ、行くか。」
未だ雨が降り続く空を見てから虹村さんの後に続いて傘を差して歩き出した。
「由良ちゃん、いらっしゃい!」
虹村家に着いて早々、虹村さんのお母さんに抱き着かれた。
「...ちょ、柏木固まってるから離してやれよ。」
「あら、ごめんなさい。由良ちゃん大丈夫?」
「...はい。」
ちょっと苦しかったけど。
「さ、ご飯の準備はもう出来てるから早く上がって手を洗ってきてちょうだい。」
「柏木、上がれよ。」
「うん。」
虹村さんが上がった後に私も靴を脱ぐ。
虹村さんの後にくっついて洗面所に行き、虹村さんは荷物を置きに二階に上がってしまったので私はどうすればいいか分からず洗面所を出たところで虹村さんが下りてくるまで待っていた。
「何やってんの。手洗い終わったんならリビング行っとけよ。」
「...うん。」
下りてきた虹村さんの後ろにくっついてリビングに入る。
そこには前来た時にはいなかった二人の小さな子供がいた。
多分虹村さんの兄妹たち。
「こんばんは!」
男の子の方が私に声を掛けてきた。
「...こんばんは。」
「今日はゆっくりしていってください!」
今度は女の子の方が声を掛けてきた。
「....。」
私はなんて返事をすればいいか分からず固まってしまった。
助けを求めるように虹村さんを見たが、虹村さんは気づかない振りをして助けてくれなかった。