第25章 rainy day
もやっとした気持ちを抱えながらもお昼ご飯を食べ終わり、ゴミを片づける。
まだお昼休憩の時間は残っていてしばらくはさつきと喋っていたけれど、ご飯を食べ終えたらしいお弁当のゴミを持った虹村さんが声を掛けてきてさつきと別れた。
ゴミを捨てに行くついでにと人気のない場所に連れて来られた。
電気がついてなくて薄暗かったから電気をつけて、近くに階段があったからそこに二人で座る。
「...話って、なに?」
「さっきの、俺の親父のこととお前の親のこと。」
親という単語を聞いて寒気が襲ってきた。
「...どうして。」
「オメーは忘れてるって監督が言ってたけどよ、体育館でオメーが言ってたことがどういうことか知りたいんだ。」
「体育館で言ってたこと...?」
もしかして、私が監督に保健室へ運ばれる前の話かな?
...記憶がない。
ということは、あんまりいいことじゃない、んだろうな...。
イヤだ。聞きたくない。
「なんて言ったの?私。」
気持ちに反して勝手に口が動く。
「まあ俺もあんま覚えてねぇんだけど。お母さんのこと悪く言わないで、だったか?」
え。
虹村さんの言葉を聞いて一瞬思考が停止した。
それから、頭が波が引くようにさーっと冷えていった。
「ふふっ。あははっ。」
口から笑い声が漏れる。
虹村さんは私を戸惑ったような顔で見ている。
「それねぇ、私じゃないよ。私はそんなこと、絶対言わないもん。きっと虹村さんの聞き間違いか、私じゃない誰か、そうだ、万華鏡が言ったの。きっとそう。」
「なんで、そう言い切れる?」
「だって私、お母さんのこと嫌いだもん。大っ嫌い。だからお母さんを庇うなんて絶対しない。」
「そ、そうか。」
「うん。」
「じゃあもう一つの話だけど...」
まさか虹村さんからあの人の話をされるなんて思わなかった。
虹村さんの言ってたことはきっと嘘。本当だとしても私じゃない誰かが言ったんだ。
そうじゃなきゃ、心が壊れちゃう。