第25章 rainy day
由良side
あたま、いたい。あつい。つめたい。くらい。
頭は痛いのになんだか体はあったかくて変な感じがする。
「...ん...」
「...気が付いたか?」
何度か瞬きをすると、段々はっきりと見えてきた。
最初に目についたのは揺れる天井。次は白くて、触ったらちょっと痛そうなとげとげしたひげ。
「気分はどうだ?」
「...んと、...あたまが、変。」
「変?」
「...痛いけど、痛くないみたいな...?...あと、あつい。」
「そうかい。」
私の自分でも何言ってるか分からない説明に頷いてくれるとなんだか安心感が湧いてくる。
どうしてこの監督と一緒にいるとこんな心地いいんだろう。
保健室に着き、ベッドに降ろされる。
「...ねえ、どうして私、監督に運ばれてここにいるの?」
「ふむ...。それはね、君の体調が優れないからだ。」
監督は何かを考えるように顎に手を置く。
そして、私の頭を撫でながら何かを誤魔化すようにそう言った。
誤魔化すように、とはいったけど監督はそんなことを悟らせないようにするのが上手いらしい。
さすが伊達に歳を重ねてない。
「じゃあ私は戻るから。」
そう言われて何とも言えない不安を覚えて手を伸ばした。
「...行かないで。行っちゃやだ。」
「分かった。もう少しだけここにいよう。」
私の伸ばした手を両手で包み込むように握ってくれて嬉しかった。