第24章 休日
「はい、アイスティーだよ。」
「...お金、」
「今日は私の奢りってことで!買い物付き合ってくれたしお礼みたいなものだと思ってて。」
財布を出そうとカバンの中を漁ったらさつきに止められた。
奢られるのは好きじゃないけどここはさつきの好意に甘えようと思った。
さつきが買ってきてくれたアイスティーをストローで啜る。
味はないが、冷たくてそれだけで満足だ。
「...何か、話があるんじゃないの?」
「えっ。」
目の前でそわそわしているさつきにそう言った。
「そう、なんだけど、何から話そうかなって...。」
さつきが困ったように眉をハの字にして笑う。
「...ふーん。」
「あのね、由良ちゃん。私、由良ちゃんのこと大好きだし一番の友達だと思ってるよ。だから、つらいことがあったら私が助けてあげるから言ってね!それが言いたかったの!」
へぇ。こんなこと言ってくれた人、久しぶりに見た...。
助けてあげる、ね。...本当に?
「...ありがとう。」
自分の言ったことに照れて赤くなっているさつきに笑顔でお礼を言った。
それから他愛もないガールズトークに花を咲かせて楽しんでからお別れした。
「また明日学校でね!」
「うん。ばいばい。」
さつきが見えなくなるまでそこに立って手を振った。
家までの道のりを歩きながら、みさきなでしこに話しかける。
「ねぇ、賭けを、しない?」
『賭け?』
「さつきのあの言葉が、本当か嘘か。」
『えー。じゃあ私は本当に賭けたいかな。だってあそこまで言うんだもん。自信あるんじゃない?』
「じゃあ私は嘘に賭けるね。」
『本当は本当に賭けたいけど、でも、助けてあげるだなんて信用できない?』
「....。」
『ま、あんなことされちゃあね。それで?賭けに勝ったら今回は何してくれるの?』
「...なんでも欲しいものあげる。」
『言ったね。その言葉忘れないでよ!』
そこでみさきなでしことの会話を止める。
周りに人がいなくて良かった...。
もしいたら私完全に変な人だよ。独り言をぶつぶつ呟いてるただの変な人。
みさきなでしこと会話を止めた後、ふとそんなことを思った。