第24章 休日
「今日はどうしてここに?」
「...虹村さんの過去の話を聞きたくて。」
「修造の過去の話?何故?」
「...聞きたいからです。」
「修造の過去を聞いてどうするつもりだい?今修造のことを揺さぶるのは止してくれないか?」
虹村さんのお父さんは私に少し不機嫌そうな顔をして、中々虹村さんのことについて教えてくれない。
「揺さぶろうなんて思ってないです。ただ...虹村さんは私の過去を聞いてくるので、それなら私も虹村さんのことを知りたいなと思っただけです。」
「...ふむ。そういうことなら。」
何か考えた後、私の目をしっかりと見て教えてくれると言ってくれた。
「何が知りたい?」
「...昔からどういう人だったんですか?」
「修造は昔、喧嘩っ早くていつも喧嘩していたよ。体中傷だらけで帰ってくることが多くてね。空手をやっていたから喧嘩で負けたことはあまりなかったけどそれでも親としては結構心配したかな。でも一時期を除いては、下の弟妹は大事にしていたよ。心を入れ替えて部活に真面目に行くようになってからは喧嘩をするようなこともなく楽しくやっていた矢先に私がこんなことになってしまって、心配をかけてしまって悪いことをしたと思っている。」
「...家族思いの根は優しい人、だったんですね。」
「あぁ。」
虹村さんのお父さんの話を聞いて昔のことを少し思い出して、それから勝手に口が動いていた。
「...私も、昔は体中に傷が多い子供でした。」
「君も喧嘩をしていたのかい?」
「...いいえ。私の場合は、一方的に傷をつけられていました。私の...たった一人の家族に。」
私がそこまで言うと虹村さんのお父さんは何も言わず憐れむような目で私を見た。
そんな反応はこの話をすると珍しくなくて話を続ける。
「お母さんは、病気でした。そのせいなのかは知らなかったけど、私が物心着く頃からずっと続いていたことだからそれが普通のことだと思って生きていました。...この前、虹村さんのお家にお邪魔した時に、私が憧れる母親という存在がいて虹村さんが羨ましかったです。」
「...今、親御さんとは?」
「...数年前に...」
俯いてそこまで言うと、悟ってくれたらしい。
この人は察しがいいみたいで話がしやすくて助かる。